この記事は、クラウドワークスで募集した「ハラスメント体験談」の記事を書いてくださったメンタルサバイバー@ITさん(20代男性)の記事です。
以下、彼の記事になります。
また、この記事の下の方に彼のプロフィールも載せていますので、併せてお読みください。
【はじめに】まさか自分がうつ病になるとは思わなかった
僕はメンタルサバイバー@ITと申します。
現在27歳の会社員です。
今回、自分の体験談をお話しすることで、同じような状況で苦しんでいる方の参考になればと思い、筆を取りました。
「会社は従業員を守ってくれる」 ー 僕もそう信じていました。
しかし、実際にうつ病になったとき、会社は守るどころか攻撃してきたのです。
この記事では、僕が体験した現実と、そこから学んだ教訓をお伝えします。
うつ病発症までの経緯
入社3年目、激務に追われる日々
僕は都内のIT企業に新卒で入社しました。最初の2年間は充実していて、仕事にやりがいを感じていました。
しかし、3年目に配属された新しい部署で状況が一変します。
過酷な労働環境
- 月100時間超の残業が常態化
- 土日出勤が当たり前
- 有給取得は事実上不可能
- パワハラ上司からの理不尽な要求
体調不良の始まり
最初は「疲れているだけ」だと思っていました。
しかし、以下のような症状が徐々に現れ始めました。
- 朝起きられない
- 食欲不振
- 集中力の低下
- 不眠症状
- 頭痛や吐き気
うつ病診断と会社への報告
心療内科受診の決断
症状が悪化し、ついに心療内科を受診することになりました。
医師からは「中等度のうつ病」と診断され、診断書をもらいました。
診断書には以下の内容が記載されていました。
- 病名:うつ病
- 療養期間:3ヶ月
- 就業制限:要配慮
上司への報告とその反応
診断書を持って上司に報告したとき、予想もしない反応が返ってきました:
「え?うつ病?甘えじゃないの?」 「他の人だって同じ条件で働いてるよ?」 「診断書なんて、医者に言えば簡単にもらえるでしょ?」
この時点で、会社が僕を守ってくれないことを痛感しました。
会社からの攻撃が始まった
人事部からの心ない対応
人事部に診断書を提出した際の対応は、さらに酷いものでした:
信じられない発言の数々
- 「本当に病気?演技じゃない?」
- 「会社に迷惑をかけているという自覚はある?」
- 「他の社員の士気に影響する」
- 「診断書の信憑性を疑っている」
休職への圧力と嫌がらせ
休職を申請したところ、様々な嫌がらせを受けました:
経済的圧力
- 「休職中の給与は支払われない」という虚偽の説明
- 健康保険の傷病手当金について教えてもらえない
- 有給消化を拒否される
精神的攻撃
- 「君のせいでプロジェクトが遅れている」
- 「チームメンバーが迷惑している」
- 「会社に居場所はない」と暗に示唆
同僚からの冷たい視線
上司や人事部の態度に影響され、同僚からの視線も冷たくなりました:
- 「ずるい」という陰口
- 避けられるようになる
- 協力を得られない状況
孤立無援の中で学んだこと
労働者の権利について無知だった自分
この体験を通じて、自分がいかに労働者の権利について無知だったかを痛感しました:
知らなかった権利
- 傷病手当金の受給権利
- 休職制度の詳細
- パワハラ・モラハラへの対処法
- 労働基準監督署への相談権利
味方を見つけることの重要性
一人で闘うのは限界がありました。以下のような味方を見つけることが重要だと学びました:
- 労働組合への相談
- 外部の相談機関の活用
- 同じ経験をした人からのアドバイス
- 理解ある医師との連携
実際に取った対策と結果
労働基準監督署への相談
会社の対応があまりにも酷かったため、労働基準監督署に相談しました。
相談内容
- 長時間労働の実態
- パワハラの詳細
- 休職時の嫌がらせについて
結果
- 労働基準監督署からの指導
- 会社の態度が一転
- 適切な休職手続きが可能に
労働組合への加入
個人では会社と対等に交渉できないため、労働組合に加入しました。
- 団体交渉権の獲得
- 法的サポートの確保
- 精神的支えを得られた
転職活動の開始
復職後も会社の態度は変わらず、転職を決意しました。
転職成功のポイント
- うつ病の治療を優先
- スキルアップへの投資
- 転職エージェントの活用
- 面接での正直な説明
うつ病経験者が伝えたい5つの教訓
1. 早期の専門医受診
「気のせい」「甘え」と思わず、早めに専門医を受診することが重要です:
- 症状の記録を取る
- 信頼できる医師を見つける
- 定期的な通院を継続する
2. 労働者の権利を学ぶ
自分の権利を知らないと、会社に言いくるめられてしまいます:
必須の知識
- 労働基準法の基本
- 健康保険制度(傷病手当金)
- 休職制度の詳細
- ハラスメント防止法
3. 証拠を残す
会社からの嫌がらせやパワハラの証拠を残すことが大切です:
- 録音・録画
- メールやチャットの保存
- 日記形式の記録
- 医師の診断書
4. 第三者機関への相談
一人で抱え込まず、外部機関に相談しましょう:
相談先一覧
- 労働基準監督署
- 労働組合
- こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)
- 法テラス
5. 経済的準備
休職や転職に備えて、経済的な準備をしておくことが重要です:
- 傷病手当金の申請方法を把握
- 失業保険の受給要件を確認
- 貯蓄の確保
- 副収入の検討
現在の状況と伝えたいメッセージ
転職後の新しい職場
現在は理解のある会社で働いています。新しい職場では、
- メンタルヘルスへの配慮がある
- 働き方改革が実践されている
- 相談できる環境が整っている
- 成長できる機会が豊富
同じ状況の方へのメッセージ
うつ病になった自分を責める必要はありません。大切なのは、
覚えておいてほしいこと
- あなたは悪くない
- 治療に専念することが最優先
- 必ず理解してくれる人がいる
- 人生は必ず好転する
【まとめ】会社は守ってくれないが、自分は守れる
僕の体験は決して特別なものではありません。
多くの方が同様の経験をしているのが現実です。
しかし、この体験を通じて学んだことがあります。
重要な気づき
- 会社は必ずしも従業員を守らない
- 自分の身は自分で守る必要がある
- 正しい知識と準備が身を救う
- 一人で闘わず、味方を見つける
- 必ず道は開ける
もしあなたが今、同じような状況で苦しんでいるなら、一人で抱え込まないでください。
専門機関への相談、医師の診察、信頼できる人への相談など、できることから始めてみてください。
あなたの人生はあなたのものです。会社が守ってくれなくても、自分で自分を守ることはできます。
僕の体験が、少しでもあなたの力になれば幸いです。
※この記事は個人の体験談であり、すべての企業や状況に当てはまるものではありません。メンタルヘルスに関する問題でお悩みの方は、必ず専門医にご相談ください。
著者プロフィール
メンタルサバイバー@IT
- 年齢: 27歳
- 職業: IT企業システムエンジニア
- 経歴: 新卒でIT企業に入社、3年目にうつ病を発症。労働問題と闘いながら転職を成功させる
- 得意分野: メンタルヘルス、労働問題、転職活動、IT業界情報
- モットー: 「一人で悩まず、正しい知識で自分を守ろう」
執筆への想い
自身のうつ病体験を通じて学んだ労働者の権利や対処法を、同じように苦しんでいる方々に伝えたいという想いで執筆活動を行っています。
特にIT業界の働き方やメンタルヘルス問題について、実体験に基づいた実用的な情報提供を心がけています。