この記事は、クラウドワークスで募集した「ハラスメント体験談」の記事を書いてくださった@akane_writer27さん(20代女性)の記事です。
以下、彼女のプロフィールです。
@akane_writer27|27歳|元食品商社勤務→メンタルヘルスライター
- 元大手食品商社に勤務。入社2年目に自律神経失調症を患い退職後、自身の経験を活かしたメンタルヘルス系の記事を中心に執筆活動を行う。
- 20歳でがんを経験し、大学院時代に双極性障害の診断も受けるなど、様々な健康上の困難を乗り越えてきた経験から、「自分らしく生きること」「心身の健康を守ること」の大切さを発信している。
- 現在はフリーランスライターとして、企業のメンタルヘルス改善プロジェクトにも関わりながら、働く人のウェルビーイングをテーマにした記事を多数執筆。
- 趣味は読書とハーブティー集め。
- 「誰もが自分らしく働ける社会づくり」をモットーに活動中。
会社は「ブラック」じゃなかったけれど、私の心と体は壊れた
@akane_writer27と申します。
食品商社に勤めていましたが、入社2年目の春に自律神経失調症を患い、退職しました。
いわゆる世間が想像するような「ブラック企業」ではなかったと思います。
でも人間関係のいや~な部分が塵も積もれば山となり、私は心身の健康を壊してしまいました。
「会社員には二度とならないし、なれねえ!」
と思うほどのダメージでした。
今、フリーランスとして働いている理由も、もう二度とくだらない人間関係で心身の健康をぶっ壊されたくないからです。
たかが”こんなこと”、されど”こんなこと”
これから紹介する内容は、「え?あなたこんなことで仕事辞めたの?」と思う人もいるかもしれません。
けれど私には、たかがこんなことが大打撃だったのです。
私は”こんなこと”が積み重なって、自律神経失調症になりました。
会社の話や、会社の最寄り駅を通る時は、正直今でも動悸や頭痛がします。
📌 新入社員の歓迎より、仕事が大事な職場
同期達が配属された部署で元気よく挨拶をし、拍手を受けている中、私は配属されて即、電話応対。
きちんとした挨拶すら受けなかったのがショックでした。
上司も先輩社員も席を立たず、目を合わせず、仕事に集中していました。
「この人達は、挨拶ができない大人なんだ」と思いました。
ショックだったのは、異動してきた先輩社員にも、次の年にやってきた後輩の時も何一つ変わらなかったこと。
「それっぽちのことでショックを受けるの?」と思うかもしれません。
でも歓迎されないって私にとっては結構ショックでした。
📌 陰口を叩くのが大好きな職場環境
人には得手不得手があって、それを補えるからこそ会社、部署、チームが成り立つ!って思っていました。
でも私のいた部署は違いました。
皆がみんな、誰かを嫌うことで意識を高める人達の集まりでした。
ショックだった語録を紹介します。
- 「(私の目の前でOJTが)OJTめんどくせえ」
- 「○○さんの仕事、超トロいよね」
- 「(別の先輩)○○さんの仕事が超トロいのはOJTのせい」
- 「(電話切った瞬間)なんなんだよ、こいつ」
- 「(子供が熱を出して早退しただけで)普段仕事遅いくせに先帰ってんじゃねえよ」
「自分に言われてないから良くない?」って言われたこともありますが、他人に対する陰口で心地よくなりませんでした。
私はとにかく不快な気持ちでいっぱいでした。
📌 無自覚なパワハラ・セクハラの数々
パワハラやセクハラの怖いところは、ハラスメントしてしまう側が無自覚なところ。
辞める前に「私は辞めるので一向に構いませんが、同じようなことを他の人にやらないように言ってください」と密告しました(社長がそれを読んで対応してくれたのかは定かじゃないですが)。
例えばその内容は、
- 飲み会で盛り上がり、頭から氷水を浴びせられる
- 海外出張先でストリップバーへ連れていかれる
- 辞めた女性社員にFacebookでメッセージを送り続ける
そもそもパワハラ・セクハラ講習会を受けた時、「あなた、ハラスメントしてるよ」って人ほど事例を見て大笑いしていたことにゾッとしました(「これじゃあ、女の子と話せなくなっちゃうよ」と言っていた)。
📌 「そのうち慣れるよ」という毒の言葉
配属の日に歓迎されなかった時点で、というか入社初日の時点ですでに会社辞めたかったんですが、世間の言う”普通”がこれだと思っていたから、私は勤め続けました。
でも日に日に「本当にこれでいいの?」って疑問が湧きあがって、時々先輩社員や上司に相談しました。
返答は「そのうち慣れるよ」でした。
その成れの果てが「新入社員の挨拶<仕事」「陰口大好き」「無自覚なパワハラ・セクハラ」なんだとしたら、私は絶対こうはなりたくない!と思いました。
成れの果てである彼らに傷つけられたのに、彼らの言う通りにこの環境に”慣れ”、彼らと同じ立場に立ちたくありませんでした。
退職するきっかけは再発疑惑
退職する後押しは、皮肉にも「がんの再発疑惑」でした。
私は20歳の時にがんを経験しています。
今でも3ヶ月に1回のペースで、再発していないか確認するために通っています。
またこの当時は、大学院時代に双極性障害の診断も受けていたので、薬を服用していました。
「がんが再発しているかもしれない」と言われた時、「抗うつ剤を飲み、疑問を抱きながら”慣れ”で働き続けることに、果たして意味があるのか?」と思いました。
20~25歳までの間、自分の人生を私はちゃんと生きれたのか?と思いました。
結局がんの再発はありませんでした。
でもホッとしたのもつかの間、心が限界を迎えていて、体が壊れてしまいました。
辞めると伝える前に、吐き気や動悸に襲われて会社へ行けなくなりました。休職の後、私は会社を辞めました。
嫌なことに”慣れる事”だけは避けてほしい
私は体を壊し、逃げるようにして退職しました。あまり良い形で会社とお別れできませんでしたが、心身の健康をぶっ壊した原因でもあるのだから「良い形もクソもねえか……」とも思います。
今あなたの勤めている会社がブラック企業とは言えなくても、あなた自身の心身が健康的と言えないなら、私は一度立ち止まり自分自身のために決断してほしいと思います。
辞めるか否かの判断はその人にしかできませんが、かつて自分が言われて嫌だったはずのことを、平気で言えるような人間になってほしくないと思っています。
慣れで乗り越えようとするのはやめてください。
後々心身の健康をぶっ壊すぐらいなら「慣れねえ、無理だ!や~めた!」という選択肢だって全然アリだと思うのです。
少しでも疑問を抱くなら、それを解決できるうちに考えて解消してほしいと思います。
「職場のストレスで自律神経失調症に “そのうち慣れる”が私を壊すまで」を読んだ感想
@akane_writer27さんの体験談は、多くの働く人々が抱えながらも声に出せない職場での苦悩を率直に表現していて、心に響きました。
「そのうち慣れるよ」という一見何気ない言葉が、実は心身の健康を蝕む危険なアドバイスになりうるという指摘は非常に重要だと思います。
特に印象的だったのは、一般的に「ブラック企業」と呼ばれる基準に当てはまらなくても、日常的な陰口や無自覚なハラスメント、人を歓迎しない職場文化が積み重なることで、人の心と体を壊してしまうという現実。
「たかが”こんなこと”」と周囲から見なされがちな小さな出来事の積み重ねが、本人にとっては大きな打撃になるという視点は、多くの人が見落としがちな真実ではないでしょうか。
高橋さんが自身の健康を優先して決断したことは、とても勇気のある選択だったと思います。
特に「がんの再発疑惑」という危機に直面したときに、自分の人生を見つめ直した経験は、読者に「本当に大切なものは何か」を考えさせてくれます。
この記事は、職場での不快な経験を「慣れ」で片付けるのではなく、自分の感覚を信じて行動することの大切さを教えてくれます。
また、無意識のうちに周囲の不健全な環境に「慣れて」しまい、自分も加害者になってしまう危険性への警鐘でもあります。
健康あっての人生、仕事であることを改めて考えさせられる、非常に価値のある体験談でした。
同じような悩みを抱えている人々にとって、この記事が「自分だけじゃないんだ」と感じる支えになり、勇気ある一歩を踏み出すきっかけになることを願います。