- この記事は実体験に基づく成功事例の一つですが、最初の告発から関係者の退職まで7年に及ぶ長期にわたる戦いとなりました。
- 精神的・経済的な負担が大きいため、安易に真似することはおすすめしません。
誰しも仕事の中で「これはおかしい」と感じることはあるでしょう。
しかし、その声を上げることは容易ではありません。
プロフィールにも記載している内容ですが、私が勤めていた会社(以下、X社)では、長年にわたり常軌を逸したパワーハラスメントが行われていました。
上司から受け続けた理不尽な扱いと屈辱。それに対する怒りと悔しさが、私を行動へと駆り立てることに。
何度も涙を流した夜、「このまま黙っていれば、自尊心まで失ってしまう」と思い詰めました。
たかのり
このままでは何も変わらない。誰かが声を上げなければ
その思いが在籍時に社内告発へ、そして退職後に再告発と私を駆り立てたのです。
【会社の実態】日常化していたパワハラの実態
X社では、以下のようなパワハラが日常的に行われていました。
- 監禁とも言える長時間説教:会議室に呼び出され、30分~3時間も閉じ込められる
- 不必要な営業同行:成果を横取りするための嫌がらせ同行
- プライベートの侵害:休日の行動を詮索され、批判される
- 成果の横取り:コツコツ積み上げた営業成果を上司が自分の手柄として報告
- 無言の圧力:営業同行時に終始不機嫌な態度で無言、精神的に追い詰める
- 濡れ衣の押し付け:上司のミス(顧客訪問での遅刻など)を部下の責任にする
- 私への報復:
◆社内の問題を報告したことへの報復として担当エリアや顧客を剥奪
◆意見したことへの報復として、ボーナスが20万カット
◆同僚に私と関わらないよう圧力をかける
◆社内メールによる公開攻撃を行い、皆が見ている前で恥をかかせる
特に問題だったのは、こうした行為が「指導の一環や愛のムチ」として正当化され、組織的に黙認されていたこと。
新人教育の段階から「上司の言うことは絶対」と刷り込まれ、疑問を持つ者は干されるという暗黙のルールがありました。
【告発の決断】恐怖と怒りの狭間で
告発を決意したとき、私の心は恐怖と怒りで揺れ動いていました。
たかのり
- 「このままでは自分の人生も台無しになる」
- 「でも、告発したら今の生活は失われるかもしれない」
経済的不安、職場での孤立、キャリアへの影響…
想像しただけで胸が締め付けられました。
しかし、自分が受けた理不尽な扱いへの怒りと、同様の被害に苦しむ同僚たちの姿を見ると、やはり行動せずにはいられなかった。
準備した証拠
私は告発にあたり、以下の証拠を用意しました。
- メールのやり取り:パワハラと取れる指示や発言が書面で残っているもの
- 録音データ:ミーティングでの発言や一対一での暴言など
- 日記:日々の出来事を時系列で記録したもの
人事との衝突⇒忘れられない瞬間
社内での最初の告発時、人事部に集めた証拠を提示しました。
しかし彼らの反応は私の想像をはるかに超えるもの。
人事
「不満があるなら会社を辞めればいいんじゃないか?」
「逆にお前を訴えるぞ!」
その言葉を聞いた瞬間、これまで抑えていた感情が爆発しました。
人の痛みがわからないんですか?
たかのり
思わず声を荒げて反論した私に、人事担当者は冷ややかな視線を向けるだけ。
この瞬間、この会社では正義が守られないことを痛感し、いずれ退職して外部から告発する決意を固めました。
この悔しさが、その後の長い戦いの原動力となったのです。
【告発後の嵐】想像を超える報復と孤独
告発後、私の予想を超える報復が始まりました。
社内では密かに味方になったり応援してくれた人がいたものの、上からの圧力によって彼らまでもが私から距離を置かざるを得ず。
その結果、完全に孤立した状態に追い込まれていき。
味方がいるのに助けを求められず、理解者がいるのに話せない状況に置かれた時の悔しさは、今思い出しても言葉にできないほどの苦痛。
ある日、精神的ストレスによる頭痛で辛くなり、社内の医務室で休もうとしたところ、上司から「休んだ時間は給与からカットする」と言われました。
正社員として当然の権利であるはずの福利厚生すら利用させないという仕打ちに、言葉にならない怒りと絶望感を味わうことに。
たかのり
私はなぜこんな扱いを受けなければならないのか
という思いが、さらに私の心を蝕んでいきました。
さらに追い打ちをかけるように、これまで担当していた営業職を突然外され、内勤業務へと配置転換され。
それだけでも屈辱的でしたが、最も耐え難かったのはその内勤業務の内容。
なんと他の営業担当者の新規開拓先へのアポイント取りという、いわば「よそ様の下働き」をさせられたのです。
自分が築き上げてきた顧客との関係を奪われ、他人のサポート役に格下げされる。
この屈辱感は、言葉では表現できないほど深いもの。
忘れられないのは、社内告発が理由で評価が下がり、ボーナスにも大きな影響があった時の事。
査定表を見せられた瞬間、これまでの実績とはかけ離れた低い評価に驚きました。
私の能力や貢献を否定するような内容に、大きなショックを受けたことを覚えています。
このような経験が、私の心身にも影響を及ぼしたのは事実。
そんな崖っぷちの状態が続いた結果、私は鬱病を患ったため失意のなか退職。
実は、在職中に休職をして心身を回復させてから転職活動をしていて、一部上場企業に転職したのです。
詳細は、下記リンク先の記事にてお話しています。併せてお読みください。
会社がつらい!辞めたいけど悔しい!転職という選択肢が正解だった話
転機⇒思わぬ援軍の出現
無念を引きずる形で退職はしたものの、私の会社に対する怒りの感情は消えるどころか、燃え上がりました。
そして、孤独な戦いを続けるなか思わぬ転機が。
X社がM&Aによって買収されたのです。
買収元の企業はコンプライアンス意識が非常に高く、これまでX社内で黙認されていた不正行為に対して徹底的な調査を開始。
さらに、社会全体でもパワハラ問題に対する意識が変わり始めていた時期。
私の告発が、ようやく「正当なもの」として評価される環境が整ったのです。
7年に及ぶ闘い
最初の告発から解決まで、実に7年の歳月を要しました。
その間、以下のような段階を経ています。
- 社内告発の試み:在籍中に社内レポートをまとめ人事へ報告するも、もみ消される
- 退職と本格的な告発開始:会社を退職後、改めて告発活動を再開
- 援軍の登場:M&Aにより旧体制の経営陣が一掃され、買収元によって編成された新体制に
- 世論に適応した社風に変化:M&A後の新経営陣による経営方針の変化(旧態依然→コンプライアンス重視の考え方に)
- 加害者の責任追及:主犯格の退職
この長期戦で最も辛かったのは、「明日解決するかもしれない」という期待と、「一生解決しないかもしれない」という絶望の間で揺れ動く精神状態のとき。
何度も「もう諦めようか」と思う日々が続きました。
パワハラ上司達が退職→思わぬ形での勝利
最終的に、パワハラの中心となっていた上司たちが会社を去ることになりました。
M&A後の企業文化の変化と、パワハラへの社会的批判の高まりにより、彼らのマネジメントスタイルが受け入れられなくなっていった模様。
元上司のSNSに書かれていたプロフィールでは「プレイングマネージャー」と誇らしげにアピールしていました。
しかし、実際は内勤で評論家的なポジションに甘んじており、転職後の短期退職の繰り返しがそれを裏付ける形となっています。
また、「赤字拠点の業績を赴任した初年度に黒字化させた」とも書いていました。
しかし、それは実質的な成長ではなく単なるコスト削減や人員整理によるもの。
現場の意見を尊重しない短期的な数字合わせは、結果として職場環境の悪化に。
このような表面的な成果の裏側には、多くの犠牲がありましたから。
パワハラ上司達のその後
興味深いことに、彼ら自身も転職先での定着に苦労している模様。
彼らは複数回の転職を繰り返しており、在籍期間も次第に短くなる傾向にありました。
このような状況を知ったとき、やはり長期的には誠実で健全な人材マネジメントが重要なのだと改めて実感。
彼らの現状を知ったとき、これまでの苦労が報われたような安堵感と、一種の教訓を感じました。
長い目で見れば、人間関係や仕事の進め方には一定の道理があるのかもしれません。
「自分のやり方を見直す機会になったのでは?」と想像すると、複雑な気持ちと共に一種の安心感も。
さらに、会社全体の仕組みも大きく変わりました。
- パワハラ防止研修の義務化
- コンプライアンス研修の強化
- 内部通報制度の見直し(匿名性の確保)
- 第三者による監査体制の導入
- 定期的な従業員満足度調査の実施
私自身は、新たな環境に適応していきました。
かつての「告発者」というレッテルも、時間とともに薄れていったのです。
※上司の退職に関する背景や影響については、M&Aの事実など公知の情報をもとにした私の考察を含みます。
告発から得たもの、失ったもの
あれから数年、私の人生は大きく変わりました。
現在は、フリーランスとして自分のペースで働いています。
失ったもの
- キャリアの一時的な停滞
- 精神的・経済的な安定(一時的に)
- 「組織人」としての無邪気さ
- 自己肯定感
得たもの
- 自分の信念を貫く強さ
- 自分軸で生きる事
- 社会を変える小さな一歩に参加できた充実感
- フリーランスとして自分らしく働く自由と未来への希望
在籍時の告発は人事によってもみ消されましたが、退職後に本格的に再開した告発活動が最終的に勝利に結びつきました。
X社を離れてからこそ、より客観的な視点と自由な立場で行動できたことが、結果的には良かったです!
これから告発を考える人へのアドバイス
もし同じような状況で悩んでいる方がいるなら、以下の点を考慮してください。
- 証拠の収集と保全:すべては証拠が物を言います
- 法的知識の習得:労働法や内部告発者保護法などの基礎知識を
- 外部サポートの確保:一人で戦わない、支援団体を探す
- 経済的な備え:最悪の事態を想定した貯蓄
- 精神的なケア:心の健康を保つ仕組みづくり
そして最も重要なのは、「この戦いにどれだけの時間とエネルギーを費やせるか」を冷静に考えることです。
私の場合は7年を要しました。
その間の苦しみは計り知れません。
そして、M&Aという援軍が来なかったら、今回のような劇的な展開はなかったはず。
このことからも、決しておすすめできるわけではないと言えます。
【おわりに】後悔はない
7年にわたる長い戦いは、私の人生の大きな部分を占めました。
家族や友人に心配をかけ、キャリアにも影響がありました。
それでも、「あの時、声を上げて本当に良かった」と思っています。
なぜなら、不正に対して立ち上がることは、自分の尊厳を守ることでもあったから。
今、私の元職場は少しずつ変わりつつあります。
新しい世代の社員たちは、かつてのような不正に悩まされることなく働けるようになったことを口コミサイトでの証言からも確認できました。
「正義は必ず勝つ」とは限らないかもしれません。
しかし、「声を上げなければ、何も変わらない」ことだけは確か。
自分の良心に従って行動することの価値を、この経験から学びました。
- この記事は実体験に基づいていますが、個人や組織が特定されないよう一部脚色・改変しています。
- また、内部告発は状況によって深刻な不利益を被る可能性があります。
- 行動を起こす前に、専門家への相談をお勧めします。
- この記事は特定の個人や組織を批判する目的ではなく、同様の境遇にある方々への情報提供と励ましを目的としています。